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経営システムを微細分割していくと (2007.03.03)

品質マネジメントシステムを扱う規格ISO 9001が1987年に世に出て以来、環境、労働安全衛生、情報セキュリティ、食品安全、リスク、苦情処理など、さまざまなマネジメントシステム規格が刊行されています。以前から何度となく話していることですが、「各種マネジメントシステム規格に順次対応していくと、規格の数だけマネジメントシステムが組織内にできあがる」かというと、そうではありません。あくまでも組織内のマネジメントシステムは1本であり、単に、扱う内容が異なるだけでなければなりません(ときどきそうでない事例にぶつかると、ドキッとします)。
 このような調子で、「組織内のマネジメントシステムは1本」と、言葉では簡単に言いますが、実際問題として、どのような形態であるのがよいのでしょうか。
 現実の組織には、上述の品質・環境・労働安全衛生・情報セキュリティ・(食品安全=該当業種のみ)・リスク・苦情処理のほか、製品安全・サービス安全、財務、人事なども、マネジメントシステムという観点で扱いうる要素であろうかと思います。これらの要素のうち、守備範囲が一番広いのは、おそらくリスクでしょう。そうすると、「組織内のマネジメントシステムを1本にまとめるには、リスクのことを中心に据えて、全体整合化を図るのがもっともよい」ということになりそうです。
 しかし、本当にそうなのでしょうか。リスクのことが最前面に立つと、どうしても思考はネガティブ方向に傾きがちになると思います。そうすると、仕事のワクワク感は高まらず、後ろ向きに捉えることが多くなるのではないでしょうか。
 どんな組織でも、その中心にあるのは、広い意味でのビジネスでしょう。組織があり、お客さまがいて、地域など周囲の人たちがいる。この構図を考えていくと、やはり『品質』が、大きな柱となることでしょう。しかし、社会的な信用も必要です。それには『安全(労働安全・製品安全・サービス安全など)』も一つの柱でしょう。さらに、ビジネスは商売であり、儲けが出ないと組織は存続し得ないことを考えると、結局、中心にあるのは『財務』ではないでしょうか(ここまでの話の展開は、ちょっと大胆で極端な切り込み方だとの批判が寄せられるであろうと推察します)。この問題、唯一無二の答えはないと思います。組織それぞれの事情によって、何を中心に据えて、何を周囲に巡らすかを、よく考えていく必要があります。
 最近「統合マネジメントシステム」という語をよく耳にします。“統合”というと、「先に部品があって、後からそれらをまとめ上げる」という雰囲気と、「各要素が別々に存在しているものをくくる」という観点があるような気がします。本来は、@中心となる柱を建てたうえで、A該当段階ごとに関連するものをシームレスで溶け込ませるという、いわば“融合”の方が近いのではないでしょうか。
 マネジメントシステム(経営システム)の整備は、なかなか一気には進みません。ならば、「まず中心となる要素から整備を始め、そのときに、どこに何を増築するかを併せて考えておく」というのが、現実的な解決策であろうと思います。